自覚症状をチェックしましょう!

ロイス・ディーツ症候群では、次の症状が知られています

皮膚

  • 静脈が透けて見える皮膚
  • 薄く、柔らかい、ビロード様の肌
  • アザができやすい(易出血性)
  • 傷治癒が遅く、萎縮性の瘢痕
  • ヘルニア
  • 湿疹、 顔にあせもができやすい
  • 乾燥肌、かゆみ、アトピー、蕁麻疹

アレルギー・消化器などの炎症疾患

  • 食物/環境へのアレルギー
  • 食物/環境への過敏反応
  • 胸焼け、食欲不振、痩身
  • 腹痛、便秘、下痢、嘔吐
  • 食道/胃/腸炎(炎症性/潰瘍性/クローン病等)腸閉塞
  • 喘息、慢性副鼻腔炎、中耳炎
  • 肺に穴があく(肺気胸)

骨格・関節・筋肉

  • 骨折、骨粗鬆、骨折治癒の遅延
  • 手足の指が細長い
  • 漏斗胸、鳩胸
  • 頚椎の不安定、頚椎の先天性奇形
  • 脊椎すべり、側弯
  • 内反足(踝が内側に入る状態)、偏平足
  • 肩/腰/股関節/膝の痛みと炎症
  • 関節の弛緩/過可動、股関節脱臼、関節亜脱臼
  • 関節の拘縮、手足の関節可動の低下 
  • 筋緊張の低下、運動発達の遅れ、哺乳力が弱い

口腔・眼・頭

  • 虫歯になりやすい(歯芽エナメル質欠損)
  • 歯列の乱れ、下顎の後退、小顎
  • 二分口蓋垂、口蓋裂、頭蓋骨早期癒合
  • 斜位・斜視、眼瞼下垂(眼筋の問題) 
  • 左右の目の間が広い(眼間開離)
  • 強度の近視、網膜剥離
  • 白目が青色もしくは暗い強膜
  • 頭痛もち
  • 硬膜拡張(腰仙部硬膜嚢拡張)

心血管

  • 小児期の低血圧
  • たちくらみ、めまい、息切れ、 胸が重い
  • 心臓弁膜症、心不全、不整脈、心房細動、左心室肥大
  • 先天性心疾患(動脈管開存、心房/心室中隔欠損、大動脈二尖弁)
  • 頭頸などの動脈が蛇行状 
  • 動脈瘤、動脈解離

生殖器

  • 膀胱炎になりやすい、排尿痛、血尿
  • 生理時の経血量が多い・生理痛が重い
  • 生殖器異常 

親族・親戚の既往

  • 原因がよくわからない突然死、頓死
  • 大動脈解離・脳出血(くも膜下出血、脳幹出血)、腎不全
  • 大動脈瘤や脳動脈瘤の既往
  • 皮膚癌、前立腺癌、消化器系癌(口から肛門までの消化器)、骨髄性白血病

目次 201128115B0001.pdf

Ⅰ.総合研究報告                
LDSの診断・治療のガイドライン作成および新規治療方の開発に向けた臨床所見の取集と治療成績の検討 ー P.1 
 森崎裕子 国立循環器病研究センター研究所分子生物学部
(資料1)遺伝性結合織病市民公開セミナー ー P. 17 ⇒ 201128115B0002.pdf
(資料2)分担研究報告書 ー P.28

1.森崎裕子 LDSおよびその類縁疾患の遺伝子解析と臨床像の検討(H22-23)ー P.28

2.森崎隆幸 国立循環器病研究センター研究所分子生物学部 ⇒ 201128115B0003.pdf
(H22) LDS成人例の遺伝子変異と臨床所見の検討 ー P. 37
(H23) LDS類縁疾患の病因遺伝子の検討 ー P.42

3.圷 宏一 日本医科大学付属病院 集中治療室  
(H22) 成人LDSの臨床の実際 ー P.47
(H23) losartan投与の効果の検討 ー P.49

4.平田 恭信 東京大学大学院医学系研究科先端医療開発講座
(H22)日本人におけるマルファン症候群・類縁疾患の臨床像に関する検討 ー P.51
(H23)マルファン専門外来におけるマルファン症候群およびマルファン類縁疾患の日本人における実態 ー P.54

5.白石 公 国立循環器病研究センター小児循環器部 ⇒ 201128115B0004.pdf
小児期ロイス・ディーツ症候群の臨床像(H22ー23) ー P.57

6.古庄知己 信州大学医学部付属病院遺伝子診療部 ー P.60
小児症例の臨床的研究(H22-23)

7.水野誠司 愛知県心身障害者コロニー中央病院
(H22)LDSの3例と臨床像と健康管理に関する研究 ー P.70
(H23)家系内に複数の若年死亡例を有するLDS女児の臨床像と遺伝カウンセリング ー P.73

8.小崎 健次郎 慶應義塾大学医学部小児科学教室 ⇒ 201128115B0005.pdf
(H22)LDSにおける睡眠時無呼吸 ー P.77
(H23)LDSにおける睡眠時無呼吸症候群の合併とCPAPによる治療に関する研究 ー P.80

9.河野 淳 神戸大学放射線科 
  東 将浩 国立循環器病研究センター放射線診療部
(H22)LDSの画像所見に関する研究 ー P.87
(H23)CTを用いたLDS患者における肺疾患について検討 

10.伊庭 裕 国立循環器病研究センター心臓血管外科
  荻野 均 国立循環器病研究センター心臓血管外科
  湊谷謙司 国立循環器病研究センター心臓血管外科
LDSの手術経験とその遠隔成績についての検討(H22-23) ー P.91

11.渡辺航太 慶應義塾大学先進脊椎脊髄病治療学
(H22)LDSに伴った脊柱側弯症の手術加療 ー P.94
(H23)LDSに伴った脊柱側弯症の手術加療 第二報 ー P.98 ⇒  201128115B0006.pdf

Ⅱ. 研究成果の刊行に関する一覧表  P.106
Ⅲ. 研究成果の刊行物・印刷 P.110 ⇒  201128115B0007.pdf

ロイス博士、ディーツ博士方による論文

Loeys-Dietz Syndrome – GeneReviews® – NCBI Bookshelf
最初の投稿: 2008 年 2 月 28 日 最終更新日: 2024 年 9 月 12 日 著者: Bart L Loeys, MD, PhD, Harry C Dietz, MD 
上記論文の日本語翻訳は未発表です。過去2回翻訳されています

*日本語訳者: 森崎裕子(国立循環器病センター研究所)
Gene Review 最終更新日: 2008.4.29. 日本語訳最終更新日: 2009.11.10.

*日本語訳者:武井眞(東京都済生会中央病院)GRJ ロイス・ディーツ症候群 (umin.jp)
GeneReviews最終更新日: 2018. 3.1. 日本語訳最終更新日: 2021. 4.30

■ Loeys–Dietz syndrome: a primer for diagnosis and management – PMC (nih.gov)
LDS各症状に関する治療と管理について 2014年2月27日発表 日文翻訳はない

TGFβ receptor mutations impose a strong predisposition for human allergic disease – PubMed (nih.gov)
LDSのアレルギーと過敏反応、胃腸炎、喘息、湿疹について 2013年7月13日発表 日文翻訳はない

Predictors of low bone density and fracture risk in Loeys-Dietz syndrome. Genet Med. 2022; 24(2):419-429. LDSの骨折と骨粗鬆について https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34906513/ 

A Delicate Situation: Marfan, Loeys-Dietz Syndromes and Hernia Repair | Johns Hopkins Medicine  
LDSのヘルニア修復(2015年7月23日)ジョンホプキンス病院 外科デビッド・エフロン医師

米国患者会での講演会

循環器、遺伝、消化器、アレルギー、婦人、整形、各科医師の講演

LDS Guidelines: Then vs. Now (youtube.com) ; 2024年論文発表前の紹介
Women’s Health: Beyond Family Planning (youtube.com); 産婦人科、当会の質問に対する回答も含む
Loeys-Dietz Gastroenterology and Allergy Q&A (youtube.com);消化器内科、アレルギー内科
Loeys Dietz Syndrome: Virtual Medical Symposium Series (11/8/18) (youtube.com)
Loeys-Dietz Syndrome | Johns Hopkins Medicine ジョンズホプキンス病院のニュースサイト

キノロン薬「重大な副作用」に大動脈解離を追加 (日経メディカル Online 2019年1月11日掲載を引用)

厚生労働省は全てのニューキノロン系抗菌薬(経口薬と注射薬)について、添付文書の[重大な副作用]の項に「大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがある」と追記するよう、製薬会社に添付文書の改訂を2019年1月10日指示した。 ⇒ 厚労省「使用上の注意」の改訂について平成31年1月19日PDF

併せて、[慎重投与]の項に「大動脈瘤または大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者」を追記、[重要な基本的注意]の項に「腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること」などの文言を追記することをも指示した。

ニューキノロン系抗菌薬は、細菌の増殖に必要な酵素を阻害して殺菌的に抗菌作用をあらわす薬。尿路感染症、腸管感染症、呼吸器感染症など幅広い感染症で有効とされる。

ニューキノロン系抗菌薬と大動脈瘤・大動脈解離については、その関係性について数年前から世界的に疫学研究が進められていた。最近では、台湾の政府管掌健康保険のデータを用いた解析研究で、ニューキノロン系抗菌薬への曝露により大動脈瘤・大動脈解離のリスクが上昇することが報告されている。これらの研究報告に基づき厚労省および医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、今回の添付文書改訂指示を決定したとしている。

ニューキノロン系抗菌薬の投与によって大動脈瘤・大動脈解離のリスクが上昇するメカニズムは詳細には解明されていないが、イン・ビトロ(試験管内などの人工的な環境下)研究ではニューキノロン系抗菌薬がコラーゲンに対して有害な作用を示すことが示されており、コラーゲン合成を介して大動脈壁の安定性に影響を与えるのではないかと考えられている

患者のほぼ100%が何らかの皮膚所見を示しています

  • 皮膚所見は、ビロード状で、菲薄化し、透過性の皮膚で、胸部で皮下の静脈が透けて見える
  • アザができやすい(易出血性、下腿以外でも認める)
  • 傷の治りが遅い、瘢痕化しやすい
  • 顔面優位の汗疹(あせも)

ご参考:ロイス・ディーツ症候群の皮膚所見:診断の手がかり、見落とされがちな兆候とは?

当サイトでは、LDSの肌の解説と、類縁疾患との比較表(下図は、翻訳を筆者が加筆)が紹介されています。

米国LDS患者会「head to toe」の紹介

dermatology: abnormal scarring, trance lucent skin, easy bruising, Ecrema, scaly skin, plastic surgery to correct abnormal scars may not have optimal outcome. Topical ointment or moisturizer, topical ointment or moisturizer. This may be related to allergies, thus avoidance of allergens(food/environmental) may be helpful.

  • 皮膚科:異常な瘢痕、トランス状態の皮膚、あざができやすい、湿疹、うろこ状の皮膚。
  • 異常な傷跡を癒すための整形手術は、最適な結果が得られない可能性があります。
  • 局所軟膏または保湿剤。これはアレルギーに関連している可能性があるため、アレルゲンの回避に役立つ場合があります。

LDSのヘルニア修復について

心臓やその他の手術後、傷の治癒が遅いためにヘルニアがしばしば起こる。過敏な免疫反応を持っているケースが多く、手術前に炎症を抑制するためにステロイドや他の薬を使用します。

腹部、鼠径部、横隔膜のヘルニア手術では、標準的なメッシュ仕様では不十分で、上下(生体とプラスチック)メッシュを使用される旨。

LDS患者は喘息、湿疹、食物および環境因子に対する過敏反応を含む、アレルギー性/炎症性疾患に罹患しやすい傾向を示すこともある。さらに好酸球性食道炎/胃炎や炎症性腸疾患の頻度が高いことも知られている

  • LDSの症例は喘息、食物アレルギー、湿疹、アレルギー性鼻炎、好酸球性胃腸疾患といったアレルギー性疾患を発症することが多い。
  • 罹患者ではしばしば血漿中のIgEや好酸球、Th2サイトカインの上昇を認める。
  • アレルギー性疾患に対して標準的な治療を提供する。
  • LDS患者は末梢好酸球数と総免疫グロブリンE(IgE)レベルが有意に上昇し、IgG、IgA、IgMのレベルは正常範囲内でしたが、IgGのレベルは正常の上限に、IgMのレベルは下限にクラスター化されていました

58人のLDS患者(年齢平均13.3歳)調査

  • 胃腸不調 38人(66%):
    うち29人成長不良・痩身、6人反復嘔吐、15人慢性腹痛、6人嚥下障害。この中の10人に消化管生体検査、6人がEGID(好酸球性消化管疾患)、6人中5人は食物回避食で症状が改善できた
  • 食物に対する有症反応 31人(53%):
    一般集団の小児6%、成人2-4%と比して有意に高い。
    18人(31%)食物アレルギー(IgE抗体・即時型)
    11人(19%)エピペン処方を受ける
    13人(21%)上記検査に該当しないが、食物への有害反応が認められる
  • アレルギー対象食物は、卵、牛乳、大豆、ピーナッツ、木の実
  • 急性の生命を脅かす反応から、より慢性的な胃腸症状まで
  • 環境アレルギーに対する調査でも有意に高い
  • 喘息26人(45%):
    一般集団の小児10-13%、成人8%と比して有意に高い
  • アレルギー性鼻炎28人(48%):
    一般集団の小児10-40%、成人8-30%と比して有意に高い
  • 湿疹22人(38%):
    一般集団の小児8-17%、成人8-11%と比して有意に高い

ご参考:各種アレルギー検査

骨粗鬆と骨折

LDSの患者では、骨粗鬆症や、それに伴う骨折の増加や、骨折治癒の遅延があるという結果が示されています

Anthony L. Guerrerio, et al. Genet Med. 2022 Feb;24(2):419-429. doi: 10.1016/j.gim.2021.10.002. Epub 2021 Nov 30.

LDS1型から5型の77名患者の骨の表現型、骨密度低下と骨折リスクに関する調査の結果から

  • 小児の50%および成人の9%が、DXA  Zスコア-2未満でした。
  • 患者の60%が1回以上の骨折を経験し、脊椎X線スキャンを受けた患者の24%が脊椎圧迫骨折を示しました。
  • 体格指数の低さ、喘息、男性、および好酸球性消化器疾患は、低いDXA Zスコアと相関しました。
  • LDS骨格特徴5つ(脊柱側弯症、扁平足、クモ指症、脊椎分離症、および屈指症)の数は、DXA Zスコアと相関しました。
  • ビスホスホネートで治療した5人の患者データは、有効を示唆しています。

結論:すべてのLDSタイプは、骨密度の低下および骨折リスクの増加と関連し、これは骨吸収の増加が原因である可能性があります。臨床的特徴は、骨密度低下および骨折リスクが最も高い患者のサブグループを予測できます。

骨粗鬆症を契機に診断に至ったLoeys-Dietz症候群の一例日本内分泌学会雑誌Vol. 99 Suppl. Update May 2023

神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 1) 神戸大学大学院医学研究科内科学講座 糖尿病・内分泌内科学部門2) 神戸大学医学部附属病院 遺伝子診療部3) 兵庫県立こども病院 臨床遺伝科4) 愛仁会高槻病院 遺伝診療センター5) 辻本 泰貴1) 山本 直希1) 福満 隼人1) 坂東 弘教2) 山本 雅昭1) 廣田 勇士2) 田中 敬子3) 森貞 直哉4) 長坂美和子5) 福岡 秀規1) 小川渉2)

X線や、超音波を用いて測定する方法があります。

DXAデキサ法は、2種類の異なるエネルギーのX線を使って骨密度を測定する方法です。

部位は腰の骨(腰椎)や太もものつけ根(大腿骨近位部)又は手首の骨(橈骨とうこつ遠位部)を計測します。超音波測定法では、かかとや脛すねの骨密度を測定します。

YAM(Young Adult Mean)評価方法では、若年成人の平均骨密度を100%としたとき、70%未満の場合に骨粗しょう症と判断されます。

左は腰椎と大腿骨のDXA検査結果票、右は橈骨のDXA検査(会代表提供)

LDSの新生児症例では、筋緊張低下等の骨格筋症状を認めることがある②

ご参考:インボディー検査

四肢と体幹の筋肉や脂肪の量がわかり、定期的に計測しますと、筋肉量の増減がわかります。

(会代表提供)

LDSにおける整形外科的管理:系統的レビュー

Orthopaedic Management of Loeys-Dietz Syndrome: A Systematic Review

Lynch, Conor P. MS; Patel, Mira MBA; Seeley, Andrea H. MD; Seeley, Mark A. MD
JAAOS: Global Research and Reviews 5(11):e21.00087, November 2021. | DOI: 10.5435/JAAOSGlobal-D-21-00087

結果:362件の論文を検索し、4件の後ろ向きコホート研究と9件の症例報告の13件を含み、435人の患者を対象としていました。整形外科的疾患で受診した患者のうち、19.8%が外科手術を受け、そのうち54.3%が有害な結果を経験し、44.4%が再手術を必要としました。手術時の平均年齢は9.0 ± 2.1歳でした。

結論:LDSの患者は、さまざまな整形外科的症状に対して、早期の外科的介入が必要な場合があり、手術合併症のリスクが高い可能性があります。現在のLDSに関する文献は主に脊椎症状に焦点を当てており、股関節変形、関節亜脱臼、足の内反足、外傷の管理に関するデータは比較的不足しています。ロイス・ディーツ症候群の整形外科的管理について、さらなる研究が必要です。

骨格系:50%の患者で頸椎が不安定 

  • 脊椎では、頸椎の先天奇形や頸椎不安定性をよく認め、特に頭蓋顔面所見の強い症例で多い。暫定的な解析結果ではあるが、少なくとも約3分の1の患者において頸椎骨の先天異常を認めた。
  • 脊髄損傷を防ぐために頸椎不安定性に対する外科的固定術が必要となることがある。
  • 頸椎不安定性のリスクが高く、挿管もしくは頸部操作を伴う手技に際しては前後屈の頸椎レントゲンを評価するべきである。
  • 脊椎すべり症及び側彎症は、軽度のこともあるが、重症かつ進行性の場合もある。

関節の過可動性

よく認められる所見で、先天性股関節脱臼や、頻回の関節脱臼もこれによる。逆に、関節の伸展制限(拘縮)を認めることもあり、屈指症や先天性内反足を呈する。

  • 先天性内反足及び重度の扁平足に対して、標準的な治療を行う
  • 股関節の寛骨臼突出は、約3分の1の症例で認められるが、通常は軽度である。しかし、関節痛や開排制限を伴うこともある。
  • 扁平足は、内踝の内旋を伴うことが多いが、歩行困難、下肢疲労や筋痙攣の原因となることがある。

骨格系の過形成は顕著ではない

肋骨の過形成により胸骨が陥凹(漏斗胸)、突出(鳩胸)する

長管骨より指趾で、過形成を多く認める
クモ状指趾を認める場合もある

・親指兆候および手首兆候は、LDSの3分の1の症例で認めた。

(1)手首兆候は、親指と小指で対側の手の手首を握った際に、親指の末節が小指の末節に完全に重なることをいう。

(2)親指兆候は、親指を内側に折り曲げて手を握ったときに、親指の末節部分が手のひらの尺側に完全に突出することをいう。

ご参考:

日本メンズ・ヘルス医学会ニュース・レターvol.12 May 2013「女性におけるAndrogen」

「胎児期にAndrogen の影響を強く受けた女性では、手の人差し指/薬指比(2D/4D比)が小さくなる」即ち「人差し指より、薬指の方が長い」

写真は当会代表の手です。これまで面談した6名の女性患者は指が細長く、「薬指が人差指より長い」手指でした。

頭痛 LDS患者の50%で生じる

頭痛の原因を特定する為に、患者さん(もしくはご家族)に「食べ物/環境日記」で、記録されることが推奨されています。
睡眠(睡眠時無呼吸、いびき)や眼科的要因、関節痛や疲労感も生活の質に影響します。

脊髄周囲の硬膜嚢の拡張で、腰仙椎部で最も頻繁に起こり(腰仙部硬膜嚢拡張) 、LDSでの発症率は不明です。脳髄液が漏出しますと、頭痛,腰痛,または便失禁もしくは尿失禁として現れる神経脱落症状を起こします。

最も重症なLDSの頭蓋顔面所見は、眼間解離と頭蓋骨早期癒合である。

・口蓋裂、頭蓋骨早期癒合に対しては専門的なチームによる対応が望ましい。

・頭蓋骨早期癒合は、矢状縫合の早期癒合(長頭症)が最もよく認められる。冠状縫合(短頭症)、前頭縫合(三角頭蓋)の早期癒合も報告されている。

・二分口蓋垂は、口蓋裂の最も軽微な表現型の一つで、幅広い口蓋垂(正中縫線の有無にかかわらず)として認められる場合もある

・その他の特徴的顔貌としては、頬骨の平坦化、下顎の後退などがあげられる。

一部の患者では、発達遅延が認められる。その場合でも、多くは、頭蓋骨早期癒合症や水頭症に合併した発達遅延であり、学習障害がLDSの一次的症状としてあらわれることは非常に稀であると考えられる。

  • 近視マルファン症候群にくらべて合併頻度は低く、程度も軽い。(*筆者の疑問:一般と比しての多少?程度の重軽は?)
  • 屈折異常が強い場合には、弱視となりうる。
    弱視のリスクのある小児に対しては、積極的かつ注意深い屈折異常の調節が必須である
  • 網膜剥離の報告は少ない(*一般比しての多少は?)
  • その他、よく認められる所見として、斜視、青色強膜などがある。マルファンでみられる水晶体亜脱臼は、LDSでは認められていない。
  • 顎下部鰓嚢胞や、歯芽エナメル質欠損などが時に認められる所見はあるが、これらについては、さらに検討が必要である。
  • 歯科治療等、血液中に細菌が混入する可能性のある医療行為を行う際には、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)の予防を検討する

*今後、東北大学 口腔歯科の先生に「解離性動脈疾患者の解離後における口腔環境の悪化」につきまして、お問い合わせをいたします。

LDS患者の癌リスクは不明

LDS1もしくは2型の患者には、扁平上皮癌、乳がん、すい臓がん、耳下腺癌、腎細胞癌、急性骨髄性白血病が報告されています。1型で前立腺癌、2型で消化器系の癌も指摘されています。

婦人科系 および 妊娠の管理

  • LDSの女性にとって周産期は大動脈解離、破裂、子宮破裂のリスクが高い危険な時期である。
  • 妊娠中、出産後数週間は大動脈の画像検査の頻度を増やすことが推奨される。
  • 婦人科系他:生理時の経血量の多い傾向、膀胱炎、排尿痛、血尿の傾向

米国婦人科医師5名による講演会Women’s Health: Beyond Family Planning (youtube.com)

LDS女性患者では、生理経血量が多い傾向にあり、通常の経血量は30㏄。生理痛と経血量を抑えるためにトラネキサム酸は有効と考えます。膀胱炎や、尿道炎、血尿、排尿痛も、よく見られます」

その他

  • 生命予後に関わる症状としては、脾臓や腸管の自然破裂、妊娠中の子宮破裂などがある。
  • 神経放射線学的所見で重要な二つの所見は、硬膜拡張(LDS患者では、未検査のことが多く、合併率についてのきちんとした統計はでていない)とArnold-Chiari奇形I型の二つであるが、後者は、比較的稀であると思われる。
  • 外科手術のヘルニア再発率が高く、再発リスクを低下させるためにメッシュの使用を考慮してもよい。
  • 気胸の再発を防ぐための最適な管理には、化学的もしくは外科的な胸膜癒着術、もしくは、外科的なブレブの切除が必要になることがある。

回避すべき薬剤や環境

  • コンタクトスポーツ、競技スポーツ、あるいは等尺性運動(アイソメトリックエクササイズ)。
  • 心臓血管系を刺激する薬剤の服用(抗鼻炎薬の常用や片頭痛に対するトリプタン製剤を含む)。
  • 関節損傷や関節痛を引き起こすような活動。
  • 気胸の再発リスクのある症例における抵抗のかかる呼気動作(吹奏楽)や陽圧換気(スキューバダイビング)

目次:定期診療と内外科の治療 /心臓の構造 / 大動脈の部位別名称と分岐動脈 / 大動脈瘤と大動脈解離の違い / LDSの血管組織 / 大動脈解離の急性期 / LDSの血管病変の特徴 /  先天性心疾患 / LDSの脳出血

定期診療:LDSと診断されますと、まず、頭部から骨盤部までの血管を、MRIあるいはCTで画像評価を行い、病変に即した治療や管理が始まります。
その時点で病変が認められなくても、定期的に、心臓超音波(心エコー)検査などで血管径を調べます。
なお、LDSは厚労省が指定した難病に該当しますので、医療費の助成を受けられます 難病医療費助成制度は保健所が担当します

内科的治療:心血管で症状が認められますと、大動脈壁へのストレスを減らす目的で、β遮断薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)等の降圧剤が使われます。ARBによる大動脈拡張抑制効果については、臨床試験での実証はまだされていませんが、これまでのLDS患者症例から効果が認められ、ガイドラインでもARBの内服が推奨されています。(ロイス博士、ディーツ博士方は、ARBのサイトカイン抑制効果について言及されています)

外科的治療:内科的治療によっても、大動脈径の拡張が抑制できない場合には、予防的に大動脈人工血管置換術を勧められます。
大動脈基部の拡張時には、大動脈弁について自身の弁を温存するか、人工弁(生体弁か機械弁)に置換するか、検討します。
最近では、予め計画された手術の成績はかなり良くなっていますが、一旦、大動脈が解離しますと、手術成績は悪く、その後の再発の可能性も高まります。

心臓の構造

人の心臓には4つの部屋と4つの扉(弁)があり、血流が逆流しないように扉(弁)を開閉しています
(図:日本心臓財団サイトからの引用)

大動脈の部位別名称 と 分岐動脈 

大動脈基部:大動脈のうちで心臓に一番近い部分。心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈へ分岐

上行大動脈:胸の前方を頭に向かって上がり、

弓部大動脈:胸の高い位置で弓状のカーブを描き、両腕と頭頸部への動脈が分岐

下行大動脈:背中側を下りて、肋間動脈が分岐

胸部大動脈:心臓から横隔膜まで、上行、弓部、下行大動脈が含まれます。

腹部大動脈:横隔膜を貫通した下側から、おへその少し下、左右の分岐点まで。
      肝臓や腸管、腎臓への動脈が分岐しています。

(図:日本心臓財団サイトからの引用)

大動脈瘤と大動脈解離の違い 

大動脈は内膜、中膜、外膜の3つの層に分かれています。3つの層がそのまま膨らむのが大動脈瘤です。
動脈瘤の形によって、全体が比較的に均一に膨らんでいるものを紡錘状大動脈瘤
動脈壁の一部だけが餅が膨らむようになっているものを嚢状大動脈瘤、と呼びます。

内膜の傷(エントリー)から中膜の中に血液が流れ込んで裂けてしまい、
大動脈の薄い壁の中で、二つ(もしくは三つ)に分かれて、血液が流れる状態が(急性)大動脈解離で、解離した動脈の壁が膨らむ状態を解離性動脈瘤といいます。

(図:慶応義塾大学病院サイト:コンパスからの引用)

大動脈解離の急性期

大動脈解離は、何の前触れもなく、胸や背中の激痛とともに起こります(事前に自覚症状が現れることは少ない)。
特に発症直後は、生命がきわめて危険にさらされて、病状が安定しない2週間目までの急性期には…

  • 破裂したり、薄くなった壁から血液が浸みだしたりして、ショック状態(血圧が下がり、意識が遠のく)
  • 分岐動脈へ、血液が流れなくなって、心筋梗塞、脳梗塞、腸管虚血、腎不全、下肢動脈閉塞などの臓器虚血

など、様態が急変することがあり、心臓血管外科医が対応できる病院での治療が必要です。

心臓の近くの上行大動脈で解離(Stanford A型大動脈解離)した場合:

破裂、心筋梗塞、急性心不全などの、致命的な合併症が起きる可能性が特に高いため、原則として緊急手術が必要です。

上行大動脈に解離がない(Stanford B型大動脈解離)場合:

発症直後に手術を行わず、厳重な血圧コントロールが行われます。

発症から十分な時間が経過した(慢性大動脈解離)患者さんは、外来で降圧療法を中心とした治療が行われます。

定期的な画像検査で、解離した大動脈の大きさの変化をフォローアップして、瘤径や血管径が大きくなった場合には、その時点で手術(大動脈を人工血管に置き換える手術など)が検討されます。

LDSの血管組織

LDSの大動脈血管組織では、中膜の変性(弾性線維形成の重度障害)が広範に広がり、
幼少児の症例や、炎症を認めない症例でも認められる [Maleszewskt et.al.2009]

LDSの血管病変の特徴

大動脈基部(バルサルバ洞)の拡張、大動脈解離及び破裂、僧帽弁逸脱症(逆流の有無にかかわらず)、肺動脈近位部拡大は、LDSの主要な病変で、病変の範囲が広く、進行が速い[Loeys et al 2006]。

動脈瘤は、鎖骨下動脈、腎動脈、上腸管膜動脈、肝動脈、冠動脈を含む(これに限らない)、大動脈のあらゆる動脈分枝で認められます

大動脈解離は、幼児期早期(≥6ヶ月)の症例や、他の結合組織疾患では解離リスクが低いとみなされる、小さい大動脈径の症例も認められます 

動脈の蛇行性病変は全身に起こり得、特に頭頸部の血管で認めることが多いです

  • 動脈病変は広範に渡り、動脈の蛇行性病変は、LDS患者の多くで認められる
  • 多くの患者では、多発性の動脈病変を認める。
  • 椎骨動脈および頸動脈における動脈解離や脳出血の報告がされている。 

しかし、大動脈基部異常を認めず頸動脈のみに限局した解離を発症した症例は知られていない。

僧帽弁逸脱症(僧房弁閉鎖不全を伴う)もLDS患者で認められています。
心臓の弁で、開閉の働きが悪くなる「弁膜症」の自覚症状として、息切れ、動悸、全身倦怠感、浮腫や不整脈がみられたりします。

先天性心疾患(心室や心房中隔欠損、動脈管開存症、大動脈二尖弁など)は、一般に比べて5倍以上の頻度で見られます。

先天性心疾患: 先天性心疾患の数と種類|子どもの心臓病について|心臓病の知識|公益法人 日本心臓財団 (jhf.or.jp)    こちらのサイトから紹介いたします

およそ100人に1人、生まれたときから心臓に何らかの異常を持って生まれてくる人がいます。
実際には、さらに重症で、生きて生まれてくることができなかった赤ちゃんもいます。
先天性心疾患を持っていたとしても、彼らは生きる力があって生まれてきた赤ちゃんです。

心室中隔欠損症 日本では先天性心疾患の約3分の1にみられ、左心室と右心室を仕切る壁に穴が開いて、小さな穴では5人に1人は自然に塞がります。
大きな穴の場合は、血液の逆流を防ぐために手術でこの穴を塞ぎます。

心房中隔欠損症は、先天性心疾患の約17%にみられ、右心房と左心房の間を仕切る壁に穴が開いて、自然に塞がることは稀です。
最近はカテーテル経由で塞ぐ治療も、保険診療で出来るようになりましたが、場所によってはカテーテルでは塞げないものもあります。

動脈管開存症:胎児の時は肺呼吸をしないため、肺動脈から大動脈に直接血液を流す動脈管が開いてあり、通常は産まれた後すぐに自然に閉じます。
この動脈管が、開いたまま残こるのが動脈管開存症です。手術やカテーテルによる治療(コイル塞栓)が行われます

脳卒中・脳出血・クモ膜下出血 

LDSでは、椎骨動脈および頸動脈における動脈解離や脳出血の報告がされています。

大阪市立総合医療センター 脳血管内治療科 小宮山雅樹 先生のサイトに、Marfan (komiyama.me)
LDSと推定される患者の、「頭頚部での動脈蛇行」と「脳硬膜が透けて見える薄さ」、細菌性脳動脈瘤による脳出血の、写真と解説があります。

脳動脈解離、解離性脳動脈瘤につきまして、昭和大学病院 脳神経外科教授 水谷徹 先生のサイトは、写真と図解で明快です

脳動脈解離、解離性脳動脈瘤について – 脳神経外科医 水谷 徹のページ (tohrumizutani.com)

  • 「脳動脈は内側から内弾性板、中膜、外膜という3層の構造になっています。中でも正常の内弾性板は、血圧600mmHgまでの圧に耐える、動脈壁の一番強い構造です。また、必要に応じて内膜が一番内側に形成されます。内膜は、基本的には血管に損傷が加わった時に、それを修復する組織であり、通常の動脈には殆ど見ることはできません。殆どの場合、動脈解離は、内弾性板に大きな裂け目ができて、中膜の中に血流が進入することによって生じます」
  • 「解離性脳動脈瘤は、基本的に動脈硬化とは関係がなく、40代を中心とし、 20-60才代に発症することが多い病態です」

解離発生(内弾性板の断裂、先行性頭痛)→くも膜下出血/脳梗塞/頭痛のみ/診断されないまま経過→組織治癒(発生より約2か月)

2024年時点で、国際的な臨床的診断基準は、まだ設定されておらず、臨床症状と遺伝学的検査により診断されます

A.症状および所見

  1. 大動脈基部の拡張又は解離
  2. 心血管系所見(大動脈瘤・解離、分枝動脈の蛇行・瘤・解離)
  3. 骨格系所見(漏斗胸又は鳩胸、側彎、関節過可動性、先天性内反足、頸椎不安定性などのいずれか)
  4. 特徴的顔貌(眼間開離・二分口蓋垂、口蓋裂、頭蓋骨縫合早期癒合などのいずれか)
  5. 皮膚所見(血管透過性、易出血性、ヘルニアなどのいずれか)

B. 遺伝学的検査

TGFβシグナル伝達系に関係する遺伝子(TGFBR1TGFBR2SMAD3TGFB2TGFB3SMAD2のいずれか)に病原性バリアントを認める。(筆者注記 バリアント:標準的遺伝子配列からの変化)

C.鑑別診断 

マルファン症候群、家族性大動脈瘤・解離、血管型エーラス・ダンロス症候群、シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群、皮膚弛緩症、ターナー症候群、線維筋性異形成、高安動脈炎

*患者から 医師のみなさまへ

上記の診断要件では、外見特徴や血管特徴が、顕著でない人々について、解離前の診断が難しいと存じます。

無特徴の潜在患者が、早期に診断されますように

付記のご検討をお願いいたします

遺伝子検査から、疾患について原因遺伝子の有無がわかります

2024年9月現在、7種類(1~7型)あり、1~6型までは常染色体の顕性遺伝で、7型のみ潜性遺伝です。

下記表はLoeys-Dietz Syndromeより引用。

  • 人間の染色体は「常染色体の22対」と「性染色体のXとY」の合計46本、この中に約20,000~25,000の遺伝子が含まれます
  • 遺伝子も対(ペア)をなし、一方の形質が他方より優先し表現される場合は「顕性」、表現されない場合は「潜性」となります。
LDS分類LDSにおける頻度遺伝子染色体領域エクソン数コメント
LDS 1~20%-25%TGFBR19q22.339最も深刻な表現型、TGFBR1とTGFBR2の表現型は重症度が類似
LDS 2~55%-60%TGFBR23p24.17頭蓋顔面所見がほとんど、あるいはまったく存在しない
LDS 3~5%-10%SMAD315q22.339大動脈疾患の重症度は TGFBR1又はTGFBR2と同様。
変形性関節症への強い素因
LDS 4~5%-10%TGFB21q418全身所見はさほど重症ではなく、マルファン症候群に似る
LDS 5~1%-5%TGFB314q24.37 LDSで最も穏やかな形態
LDS 6~1%-5%SMAD218q21.111先天性心疾患を含む様々な心血管表現型
LDS 7~1%IPO812p11.21若年で重度の動脈瘤;解離は記されていません
不明5%-10%LDS特徴を持ちながら、既知の原因遺伝子に該当しない

因みに、マルファン症候群(MFS)はFBN1遺伝子で15番染色体(15q21)、エクソンは65

お子様が急逝されてから、検査を受けられて、MFSからLDSへ変更された例もありますので、ご確認をお勧めいたします

例)LDS 2の読み方

2型の患者数が最も多く、LDS患者の約60%を占めます。
2型の原因遺伝子「TGFBR2」は3番常染色体の「p24.1」に位置し、当域は7区画(エクソン)で構成されます。
1~7のエクソンによって、ある程度の疾患傾向も明らかになってきているそうです (図は筆者提供)

各型の疾患傾向について(表は、GRJ ロイス・ディエツ症候群 (umin.jp)より引用、改変)

+ は臨床所見を有すること、 – は臨床所見を有さないことを示します
+ の数が増えるともに頻度が増し、 +++ で頻度が最大となることを示します

臨床所見Loeys-Dietz 症候群
TGFBR1/
TGFBR2
SMAD3TGFB2TGFB3SMAD2IPO8
発達遅滞+ 運動発達の遅れ
水晶体亜脱臼
二分口蓋垂/口蓋裂+++++++
眼間解離++++++++
頭蓋骨癒合+++
長身++++++
クモ状指趾++++++++
胸郭奇形++++++++++
内反足+++++++
変形性関節症+++++++?
大動脈基部拡張+++++++++++
大動脈瘤++++++++
動脈蛇行++++++++
若年発症動脈解離++++++++
先天性大動脈二尖弁+++++++
僧房弁異常+++++++
線状皮膚萎縮症++++++
硬膜拡張+++?

・親から子へ遺伝する確率は50%です。
・同じ原因遺伝子を保有する親子でも、症状に差があり、重症度を予測できません

・同一原因遺伝子の人々(親族外)でも異なり、重症度は可変します

・LDSと診断された25%は、親も同疾患です。家族性の発症では、重症度が低いのが一般的です。

LDSの正確な有病率(一般からの有病患者数)は不明ですが、1:50,000と推定されています。
日本で診断された患者数は、令和元年度の医療受給者証保持者数から、マルファン症候群とロイス・ディーツ症候群合わせて 849人です